旅するフォトブック 4店目 石引パブリック

「誰か作ってくれないかな、ってずっと思ってたんだけど、誰も作ってくれないから、自分で作っちゃった。」トークは苦手なんだけれど、と言いながらアイスコーヒーを淹れてくれたのは、店主の砂原久美子さん。豆は金沢の名店チャペックから仕入れている。めちゃくちゃ美味しい。

東京でデザインの仕事をしていた頃によく通ったのは、アート系の本屋や、近所にあったサブカル系の新刊本屋「高円寺文庫センター」。帰郷した金沢でも本屋巡りの楽しさが忘れられず、セレクト本屋を探し回った。が、見つからない。そのうち誰かが作ってくれないかな~、と期待するが、待てども待てどもそんな本屋は現れない。ついにしびれを切らして自分で作ってしまったのがこの「石引パブリック」。

開業を相談した人には「取次を通さないで新刊本屋をするのは大変、古本屋にしたら」と言われたが、どうしても新刊本を扱いたくて。思い余って「無償でいいので働かせてください!」と、大先輩の本屋「READ」の門を叩いた。さすがにただ働きは断られたが、本屋についていろんな面で教えてもらい、現在も助けてもらう大切な存在となった。

デザイナーさんが経営する本屋だから、取り扱いは本だけではおさまらない。「リソグラフ」なる印刷も開店当初から。リソグラフ、はただのカラー印刷ではない。多色刷りの印刷なんだけれど、微妙に印刷がずれる。なんだか版画風でレトロ。それで名刺やフライヤーを作る。注文すればデザインからしてくれることも。店の一角には、地元で自費出版されている個人の手作り本コーナーも。「ZINEカルチャー」と呼ばれるらしい。その本もここで印刷できる。最近は普通にカラー印刷ができる機械も導入。美大生などのニーズに応えた形だ。

「カフェは全然やる予定はなかったんだけれど。」ちょうど開業前にカフェをやりたいという方がいて、全部自分でやってくれるなら、とカフェを併設。ところが事情があり途中でその方が辞めることになった。困った困った。そこでお願いしたのがチャペックさん。アルバイトの大学生たちと一緒に一からコーヒーの淹れ方を教えてもらった。「今となっては、カフェを作っておいて良かったと思う。」カフェはイベント開催時にも大活躍。

イベントは、「石パブ読書会」なる読書会や、本の発売に合わせたトークイベントも人気。仲正昌樹教授(金沢大学 ※1)による「哲学JAM」、カルチュラル・スタディーズ(カルチャーを通して考える社会分析)関連など刺激的なテーマを扱い、金沢大学や金沢美術工芸大学の教授など多彩なゲストを招いている。コロナ禍の今はオンライン配信も行い、全国どこからでも視聴できるようになった。9月12日(日)には大人気韓流ドラマ「愛の不時着」関連本の出版記念イベントを予定している。※2

さて、取材チーム3名、実はインタビューしながらも、棚の本が気になって仕方がない。インタビュー終了後は真剣に本選び。それぞれ山盛りの本を抱えてほくほくと帰路についたのだった。

※1 仲正昌樹教授には、ピースウォーク金沢2018 全国コッカイオンドク!コンテストで審査員を務めていただいた。

※2 オンライントーク テッドの裏着~愛の不時着を皆で語ろう!! 『愛の不時着』論 セリフとモチーフから読み解く韓流ドラマ <ナカニシヤ出版> 出版刊行記念 ゲスト 本橋哲也(著者、東京経済大学教授) 高原幸子(金沢星稜大学准教授) 司会 稲垣健志(金沢美術工芸大学准教授)9月12日(日)13~15時 @ZOOM 参加費500円(石引パブリックにて書籍購入者は無料)

石引パブリック
〒920-0935
石川県金沢市石引2丁目8-2 山下ビル1F
営業時間 13:00〜19:00
定休日 毎週日曜・月曜
電話・FAX 076-256-5692
駐車場 お店裏通りに1台有り
https://www.ishipub.com/

(取材:熊野盛夫、小原美由紀、奈良井伸子)

実行委員が次つぎとピース割引のお店にインタビューに伺い、こちらのページでご紹介していきます。どうぞお楽しみに!

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